フレンチアルプスで起きた事

 

感想

本作は血を流さない版ゴーン・ガールと言っても良いのではないでしょうか?

大して大きな事件など何も起こっていないのに、終始目が離せないぐらい興味深い作品だと思います。

起こるのはちょっとしたハプニングのみ。

あるのは男女間の心理戦と言っても過言ではないでしょう。

 

物語はスウェーデンからフレンチアルプスへスキーを楽しむ為に、ヴァカンスでやってきた4人家族の5日間の出来事を描いたものです。

淡々とした人間ドラマでありながら、次はどうなるのかと強く興味を惹きつけて止まないこの作品にある種の偉大さを感じました。

問題のちょっとした事件は、家族揃ってテラスで食事を取っている時に起こります。

このスキー場では大きな雪崩が起きない様に、人為的な雪崩を定期的に作り起こしています。

この人為的な雪崩が原因で家族間の関係がぎくしゃくしてしまうというお話です。

 

取り立ててショッキングなシーンや高揚感を感じる場面がない為、余計にスクリーンの中で起こっている出来事がリアルに感じられました。

だんだん情緒が不安定になっていく妻のエバを観ていると、どういう訳かイライラしてきました。

気持ちは分からなくもないですが、いくら何でも夫のトマスを責め過ぎだと思います。

 

しかし最後には大どんでん返しが用意されていました。

思わぬ方向に着地するラストシーンが痛快です。

何気に旦那の方に感情移入して鑑賞していた為、それ見た事か!という気持ちにすらなりました。

おそらくこれは明らかに監督の意図する所であり、この様な気持ちに誘導されたのだなとすら感じます。

 

また本作では、男性が「男性らしさ」を放棄する事の難しさの様なものを物語っているとも思います。

そもそもこの作品の中で起こった様な出来事に上手く対応するには、誰でもそれなりの訓練が必要なのではないでしょうか。

昨今では「女性らしく」と言われる事に対して反発出来るムードがありますが、その逆は難しいのではないかと思います。

 

ラストシーンで1人だけ皆と別の行動を取る女性が現れますが、この人の方が余程まともなのでは?と思えて仕方がありませんでした。感想